第8章 星漿体①
「ぬあぁーーーーーっ⁉︎⁉︎
コラッ‼︎前髪っ‼︎公然の場で何をしておる⁇
もデレとらんで拒否せんかー‼︎」
真っ赤な顔で捲し立てる理子ちゃんに、傑と私は顔を見合わせるとプッと吹き出した。
『傑、変なあだ名つけられたね(笑)?』
「さっき黒井さんにもそう呼ばれたよ。」
ヤレヤレと肩を竦める傑。
すると見張りをしていた黒井さんが小走りで戻って来た。
「お嬢様、そろそろ午後の授業が始まるので教室へ戻られた方が…。」
「おぉっもうそんな時間か!
っ、急いで戻るぞ‼︎」
『はぁーーーい。』
もう少し、傑の腕の中にいたかったけど仕方がない。
行ってくるね、とアイコンタクトを送ると傑もコクッと頷き腕を解放する。
「何かあればすぐに駆けつけるよ。」
『うん。ありがと。』
プールサイドのベンチで横になっていた五条の横を通り過ぎようとした時、
「・・・傑の呪霊が監視してるからお前はエセ中学生ごっこ、楽しんでろよ。」
寝そべったままの格好で五条が独り言のように呟いた。
いつもの憎まれ口…ではなく、きっと私の不安を取り除こうとして言った言葉のような気がして…
『・・・・エセ、は余計よ。』
素直じゃない私は口を尖らせるとそのまま理子ちゃんの後を追った。