第17章 それは突然に
子虎の眠るベッドへと上がり込めば、子虎は白い毛並みを揺らしてスースーと気持ち良さそうに眠っている。
私もその横へと身体を倒し布団へと潜り込みそのふわふわとした毛並みをそっと抱き寄せ撫でつければ、そこからは微かに傑先輩の呪力を感じた。
傑先輩…
そうだ、キスをしたんだ。私は傑先輩とキスをした。
好きだと言われたことがあまりに衝撃であやふやになってしまっていたが…私は傑先輩とキスをした。
その光景を思い出しボッと顔面が熱を持つ。さらには好きだと言った傑先輩特有の低く色気を含んだあの声を思い出し心臓が早打ちした。
「…次会う時、どんな顔して会えば良いんろう」
傑先輩の呪力を微かに感じながらもその存在感に少なからず安心感を覚えてしまう私は、自分で自分が正直分からなかった。
五条先輩の言葉に、私達の関係が終わりを告げたことに心が裂ける思いだというのに…傑先輩を思い出すと小さく心に火が灯る。
だけれど彼の最後に見せた「ごめんね」と言った切なげな表情を思い出し、また心臓が冷えたように酷く胸を沈めた。