第4章 おまけ的な兄弟の話
14年振りに弟と再会した。
それはそれは心が震える感動を覚えたものだ。
父を撃ち殺し首を持って聖地へ交渉に行ったが、聖地へ戻ることは許されなかった。
殺されかけながらもなんとか逃げ帰った。弟を待たせていたから、どうしても死ぬ訳には行かなかった。
だがどうだろう、待っていろと言ったのに弟はロシナンテはロシィは居なくなった。
探した。
たった1人の血を分けた家族だ。諦められなかった。
人に殺されたか攫われたか、どこにも居なかった。見つけられなかった。
海賊団として旗揚げした後ファミリーが増えたがロシィが居ない心の穴は埋めることが出来なかった。
諦めきれなかった。いつも新しい島へ行けばロシィを探した。
だが何処にもいなかった。
それが突然フラリと俺の前に現れた。
夢かと思ったくらいだ。背も俺よりは小さいがデカくなっていたが、赤い瞳もくせっ毛のふわふわした金髪もロシィそのものだった。
俺といない間何があったのか、口が聞けなく表情も乏しくなっていた。
別れたあと人間たちに何かをされたのか、それとも俺がしでかした事がショックだったのか…聞くに聞けなかった。
可哀想なロシィを14年分甘やかしたくなった。
だから何も聞かずにファミリーの幹部として俺の大切なロシィに相応しくコラソン(心臓)の席を与えたのだ。
そんなある日、船で海を渡っていた時だ。
ロシィが動揺したのだ。
乏しいと思っていた表情が変化したことに驚き何を見たのかと視線を辿ると遠目ではあるが海軍の巡視船を見つけた。
海軍なんて掃いて捨てるほどいる。
どいつも同じように見える、いちいち相手もしてられないと思ったのだが…1人気になるやつを見つけた。
空色の髪を風になびかせ、将校以上が着ている海軍コートを肩に羽織っていた。
可愛らしい顔に似合わずこちらを殺意のこもった目で睨みつけてくる女海兵。