第22章 第二十一話 第三使徒計画
しかし今はそんな事を言ってられる状況じゃないのだ。
不二と彩音が、そう言って立ち上がる。
しかしその時、ロードが拗ねたような口調で叫んだ。
「いいよ~だ!アルマだってゆうことが信じられないならぁ~、アルマ自身に信じさせてもらえ~!」
「!!」
何か企んでいるような言い方のロードをユキサが遠くへ放った。
しかし床に、あのバンダナのノアの目が出現し、互いが近くにいた神田、ユキサ、アレンが光に包まれていく。
「はじめに云ったであろう、神田ユウ」
おぬしの脳、アルマ=カルマの目覚めに使わせてもらう!!
離れていたトクサ、彩音、不二が叫ぶ。
「見てはいけません!!!」
「ユキサ!」
「神田!アレン!!」
光が収まるとそこには、動かなくなった3人の姿があった。
「3人に何をしたの!?」
「喚くな。ちょこっと神田ユウの脳をイジっとるだけだのぅ」
彩音の言葉にバンダナのノアがそう答える。
3人の傍で彩音がノアを睨む。
そんな様子を見ながら、他のノアたちがひそひそと話し始めた。
「アレン・ウォーカーもいっちゃってないかい」
「ユキサもいったな…」
「ワイズリーは大雑把なんですよネェ」
「ウルサイうしろ」
ワイズリーと呼ばれたバンダナのノアが言った。
予定では神田だけで良かったのだろうが、近くにいたアレンやユキサも巻き込んでしまった。
「…9年前、おぬしらはたった2人の使徒だったのだろう、アルマ=カルマ?」
ワイズリーがアルマへと話しかける。
神田の脳にはアルマと共有した過去がある。
それをアルマに取り戻させようとノアたちは企んでいた。
「た、頼む、やめろ!!」
「ズゥ爺っさま…っ」
ズゥが懇願する。
もう、アルマには触れないでくれ。
頼むから2人をそっとしておいてくれと。
しかし彼らはノアだ。
野暮はよせとワイズリーが冷たく言い放った。
「貴様らへの慈悲などない」
―――――そうして、やっと瞳に映ったのは…青い大きな空だった。
『あぁ…やっぱりだ…』
―――――青く、どこまでもどこまでも…初めて目にしたはずなのに、知ってる。
『ごめん…。ごめん、アルマ…』
―――――憎らしいほど綺麗なこの空を、俺はずっと知ってたんだ。