第1章 プロローグ 導かれし三人
おまけ
帰りの汽車にて。
エクソシストだという事で個室に通された神田。
ナギサは部屋の外で待機している。
神田は抱えていたユキサをソファに寝かせると、向かいのソファに座った。
と…。
ジィーーーー…。
「…。なんだ?」
むんず、とソレを掴むと、キュー!キュー!と鳴きながらじたばたと暴れ出した。
ユキサの服の中から、こちらを見ていた存在がいたのだ。
「銀色のゴーレム…?に見えるが…」
ユキサは教団との関わりはないはずだ。
本人も知らなかったはずだが。
鳴き声に、バサバサと神田のゴーレムがコートから勝手に出てきた。
スリープモードにしていなかった事に気づいた神田だったが、そのまま様子を見る事にする。
やはり同じゴーレム?同士何か感じる所があるのか?
(いや、機械だろ)
内心つっこみながら、未だじたばた暴れている銀色のゴーレムを離してやると、パタパタとユキサの元へ飛んで行く。
そして神田に牽制するように仁王立ちし、羽を広げてユキサを庇っていた。
そこへ神田のゴーレムが少し興味ありげに近づいては、威嚇されている。
「スノウ…?」
小さな騒ぎに目を覚ましたユキサが目を覚ました。
銀色のゴーレムはまるで返事をするように一声鳴いた。
「起きたか」
「神田さん…ここは?」
「教団へ戻る途中の、汽車の中だ」
ここから数日はかかる、と続けた神田の言葉に、コクリと頷いたユキサ。
まだ寝ぼけているようで、体は起こそうとする気配はない。
「まだ…寝ていても大丈夫?」
「…着いたら起こす」
「ありがとう…」
再び瞼がおりてきて、ユキサはすぅ…と寝入った。
戦いの後そのまま連れてきたため、ユキサは家に居た時の薄着のままだ。
しばらく考えた後、小さく舌打ちをした神田は、自らのコートをかけてやった。
傍では銀色のゴーレムと黒いゴーレムが未だ喧嘩をしていた。