第9章 リヴァイ 誕生日
小屋に暖炉は無いから暖かさを保つ為に調理が終わっても暖炉の代わりに竈に薪を足した
薪がもえてパチパチと音を立てるのを聞きながらアンナはぼんやりと窓から見える雪を眺めていると 兵舎から小さな明かりが近づいてくるのが見えた
リヴァイかな…
ノックがしてアンナがドアを開けるとそこにはハンジとナナバが立っていた
「どうしたの?」
ハンジの手には2本のワインがナナバの手にはワイングラスがあった
「エルヴィンが予定より早く王都から帰ってきてね ワインを土産にもらったんだ
そんでリヴァイはミケに捕まって今はエルヴィンの執務室で飲んでるよ
だからリヴァイの代わりに私達が ご馳走になりに来たよ こっちは女子会だ」
ハンジはアンナの手料理が大好きだからニコニコとご機嫌で
「急に押し掛けてすまないね」
申し訳そうにするナナバもハンジと同じだった
リヴァイは今日が何日か忘れてるんだな…
たかが一日 でも今日の12月25日は特別な日だった
でもそれを今 思っても仕方がない
アンナは2人に気付かれないように小さなため息を吐いた
大きなテーブルの上に今日のメニューをデザート以外並べる 元が2人分だから足りないと思い 食べやすくカットしたバケットにガーリックとローズマリーを混ぜこんだバターを塗り軽く焼いたのを沢山並べた バケットが焼ける香ばしい匂いとガーリックの匂いが3人の胃袋を十分に刺激する
「エルヴィンって未来が見えるのかな?今日のメニューに赤ワインなんて完璧じゃない!」
酒に強いハンジはガーリックの効いたバケットをつまみにしてグイグイとワインを飲んでいく
「もう!アンタ1人で1本飲んでない?」
ナナバがハンジからボトルを取り上げてアンナの空になっているグラスに注いでくれた
始めこそため息をついたアンナだったけど ハンジもナナバともこんな時間を過ごすのは久しぶりで次第に楽しくなりお酒も進み気が付けばテーブルの上の料理は3人の胃袋に全て入っていた
「デザートにしようか?」
テーブルの上を片付けてパウンドケーキをカットボートの上に乗せて 紅茶を淹れる為にポットに水を入れた時にアンナがひらめいた
「そうだ ホットワイン飲んでみない?」
「「ホットワイン?」」
2人が同時にアンナを見た