第13章 恋焦がれ《サボ×エース》
ずっとエントランスで待っていたのだろうか。
分からないけれど、私の事心配してくれたのかなと少し嬉しくなった。
「飯、食ったから」
『あ、うん。』
「…」
それだけ伝えると袋を置いてそのままソファに座った。
いつもなら直ぐに寝てしまうのに、どうしたのだろうか。
買い物した材料を冷蔵庫に入れて洗濯を回すために洗面所へ向かった。
サボの服にたまに紙とか入っているから念入りに確認する。
黒いカッターシャツを手に取りポッケを確認する。
『…』
少し甘い匂いが鼻をかすめる。明らかにサボの香水じゃない。
すると、襟の所にほんのりリップが着いている。
黒だからバレないとでも思ったのだろうか。