第5章 pendulum ペンデュラム
───百十年前
「お、霉李ちゃんやん。どないしてんこないなところに来よって」
包帯だらけ、雑に切ったショートカットの霉李とは真逆にサラサラロングヘアーを靡かせる平子真子
『書類を届けに』
霉李は平子の問いに無機質な声で答えた
「書類?あぁ、ご苦労さん。…珍しいなァ?惣右介が直接来ォへんのは。」
『惣右介なら隊員に呼ばれてそちらへ。』
表情も声音も一切変えずに淡々と返す霉李
「せや、今日何人かと飲みに行くんやけど霉李ちゃんもどや?」
『遠慮しておきます。』
「ちぇ、固いやっちゃな。用事でもあるんか?」
『いえ、特にありませんがそんな暇が惜しいので。』
「そんな暇て…」
まるで俺らが暇みたいな言い方しよって、なんて言いながら口を尖らせる平子に、やはり冷淡に
『…そんな事しても可愛くありませんよ。恥ずかしくないんですか?』
……いや、少し嘲るよう言った
「…なんや今バカにしたやろ!!?」
『いえ、恥ずかしくないのか聞いただけですが?』
「いーや!絶対に笑ったやろ!?」
『いえ、"笑った"ではなく"嘲笑った"が正しいです』
「嘲笑っとるやないかい!!」