第7章 寂しさ
何度も何度も重ねている唇と、互いの熱い吐息でやはり頭がどうにかなってしまいそうだ。
キスとキスの合間に囁かれた「ヒナ…可愛い」の言葉はとろけそうなほどに私を甘く包み込んだ。
しばらくして離れた唇に、とろんとした表情で悟を見上げれば、悟はとんでとなく優しい表情で私を見下ろしふんわりと微笑む。
「ふふっ、今にも溶けちゃいそうな顔してる」
ゆるりと上げられた口角と細められた綺麗な瞳は、艶めかしく妖艶できっと誰をも惹きつけるほどの魅力を醸し出していることだろう。
はぁはぁと軽く肩で息をしながら、そんな色っぽい悟をじーっと見つめていると、彼は少しばかり意地悪な表情でニヤリと笑ったあと。
「キス、気持ち良かった?」
「…なっ…何でそんな事聞くの!」
「だって、凄く気持ち良さそうな顔してたから気になってさ」
「普通そんな事聞かないよ!悟のばか!!」
バッと布団へと勢い良く潜り込めば、頭上では悟のクスクスと笑う声が聞こえてきて、一体自分はどんな顔をしていたのかと想像するだけで沸騰してしまいそうな気分になった。
思わずとろけてしまいそうになったのは事実だ。だけどこんな事を言ったら、あの悟の意地悪気な顔をさらに喜ばせることになってしまうと思い言葉を深く飲み込んだ。
こういう時、いつもいつも悟ばっかり余裕そうで嫌になる。少しは私だって彼の余裕が無い顔が見たいのに…それはまだまだ先の話になりそうだ。