【NARUTO】Break&Peace ⑴【うちはオビト】
第24章 Dawn20.動物と絆-真実-
イタチはハッと息をのんだ。
どんな理由があるとはいえ、何年も何年も苦しめていたのは自分なのに――…
イタチはゆっくり首を横に振り、優しい眼差しで弟を見つめた。
鼬「一族の抹殺…里抜け…。歩んできた決して明るいとは言えない世界の中で、心の支え―…唯一の光が…サスケ、お前だった」
イタチは自重気味に顔を伏せ、苦笑いを浮かべた。
鼬「またあの頃に戻ることができるならと…いつも願ってた」
すると、サスケは少し寂しげな顔で微笑んだ。
佐「あの頃にはもう戻れない…」
イタチは"わかってる"とでも言いたげに目を閉じた。
佐「だが、元の"兄弟"になら戻れる」
鼬「!」
イタチはハッと顔を上げた。
サスケの顔に、もう涙はない。
佐「過去に戻ることできない…。だが、俺と兄さんには"兄弟"という何よりも強い繋がりがある。だから、元に戻れる…」
鼬「サスケ…」
佐「なぜなら俺たちの今いるこの世界が…"現実"だから」
その時、イタチはやはり自分を照らしてくれる"光"は弟―…"サスケ"なんだと思った。
たった一人の弟がたった一つの光をもたらしてくれる。
凄惨な過去で壊れかけた心を包み込んでくれたサスケ。
きっと、この心を治せるのは弟しかいなかったのだ。
――…俺は、お前がいてくれてたくさん救われたよ。
鼬「サスケ…俺は……」
佐「兄さん、俺は―――…」
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