第3章 相互契約
「・・・・・おかえり。黄連湯、魔法瓶の中に入ってるから。」
「…うん、シェイシェイ。所でさ、なんで僕の寝台の中でキミが寝てるのかな?」
あの後妲己ちゃんに「今の娘彼女?え、違うの?だとしても罪な人よね、貴方。」とか「あの娘野干なの…じゃあ今度暇ならうちの店に話だけでも聞きに来ないか言ってもらえる? イヤぁね、嘘に決まってるでしょ。ごめんなさい、からかっちゃって」みたいに話しながらお店に向かって。
飲んで歌って踊ってもらって日付が変わるくらいにお店を出て、それからかなりゆっくり歩いて帰ってきたつもりだった。で、もう面倒だし着替えないで布団に入ったら何か温かいものがそこに居て慌てて布団をめくったら石榴ちゃんがすやすやと眠っていた訳で。
…コレ、遊んできてなかったら確実に襲ってた。
寝ぼけ眼をさすりながら起こした体はおぼつかなく揺れて、そのたびに綺麗な鎖骨が見え隠れする。
「何か用があってコッチに来たんだと思うけど、動けないようなら僕は今夜あっちで寝るよ。」
そう言って踵を返して倉庫の方に向かおうとすれば手首を掴まれ強くひかれ、覆わず寝台の淵に座り込んでしまう。後ろから抱きかかえるように腕を回され密着してくる彼女。妲己ちゃんとは違う、でもちゃんと女の子の甘い香りがする。
「ダメ。白澤に話したい事があるの。」
「何?添い寝以上の事なら今からでもお望み通りにしてあげるよ。」
耳元でささやくように呟かれた言葉に首だけを後ろに向ける、僕が彼女の方を向けば驚いたように顔を引っ込め今の僕の言葉を否定するように左右に首を振ってからイタズラに微笑んだ。
「私、一人の人じゃ満足できないの。きっと白澤のそうでしょう?」
そう来たか、その言葉に目を丸くする。その表情を見てさらに彼女は言葉を続ける
「アタシとアナタ、似た者同士だと思うの。美味しいモノはいっぱい食べたいでしょう?」
抱きしめる腕を解いて彼女は僕の眼前に顔を寄せてくる、柔らかそうな唇が誘惑の言葉を並べたてる
「だからお互いに自由な恋愛しない?もちろん今夜このまま食べられてもアタシは構わないけど、アタシが他の人を味見しても怒らないって話。」
どう?と首を傾げながら提案してくる彼女の唇を自らの唇で塞いで、寝台に押し倒しながら僕は思ったままの言葉を吐いた
「それで構わないから早く食べさせて。もう、待てない。」
