第57章 贅沢な相談役
「もう何も言う事はありません……」
エマは大きくため息を吐く。
「そんな顔をするな。」
エルヴィンは項垂れる
エマの頭を優しく撫で、
「君がそんな風に考える様に
なってしまったのには、
私にも責任があるからな。」
と、そっと目を瞑る。
「……これじゃぁ私、
エルヴィンさんが夜の相手をしてた貴族女性と
何ら変わりないじゃないですか。」
「いや、それは違うよ。」
エマの落胆した発言を、
エルヴィンはすかさず否定する。
「君を抱く時、私はいつも本気だからな。
一切手は抜かないし、
見せかけの行為はしない。
君を抱く時と貴族女性を抱く時では
雲泥の差があるよ。」
エルヴィンのその言葉を聞き、
エマは思わず頬を赤らめると
「そんなハッキリ言われると、
かなり照れるんですけど……」
そう言って再び俯いた。