第54章 想い出の地
エマがシャワーを終えて部屋に戻ると、
エルヴィンはベッド脇の窓辺で
雨空を眺めていた。
「エルヴィンさん、お先でした。」
エマはエルヴィンの横に並ぶ。
「ああ。」
エルヴィンは一瞬エマに視線を向けた後
再び窓の外に視線を戻す。
「雨、止みそうにないですね……」
エマはそう言いながら、
『またエルヴィンさんと
ここで一晩を共にするのか……』
と、心の中で少し当惑しつつも、
心の準備を始めつつあった。
「エマ。ゆっくりしていなさい。
私もシャワーを浴びてくる。」
エルヴィンはエマの頭を軽く撫でると
部屋を出た。