第53章 花言葉
「……え?休みじゃないですよ?」
エマはすぐに
食堂の脇にある暦表を確認する。
だが、やはり勤務になっている。
「いや。
今日は君も休みになるように、
ナイルに頼んでおいたから大丈夫だ。」
「……そんなこと出来るんですか?」
エマは訝しげな目でエルヴィンを見た。
「彼には貸しがたくさんあるからね。」
エルヴィンはそう言うと、
エマの背中を押し
「そろそろ兵団が帰って来るから
リヴァイが戻る前に、一日くらい
君を独り占めしたいと思ったんだよ。」
と、笑顔を向けた。
「……ありがたいですけど、
本当にいいんですか?」
エマは不安気な目でエルヴィンを見る。
「なんだ。
そんなに憲兵団に行きたいのか?」
「いや、それはないです。」
エマの迷いのない即答に、
エルヴィンは思わず吹き出すと
「それならいいだろう。
今日は私に付き合ってくれ。」
そう言って再びエマの背中を
優しく押した。