第7章 嫉妬
肩で息をしながら横になる私に、七海君がそっと毛布を掛け抱きしめてくれる。
何だか気恥ずかしい気持ちになりながらも、この空間がとても心地良い。
「身体、平気?」
「うん、平気だよ」
二人でベットで抱きしめ合いながら布団へと潜り込むと、七海君が私のおでこへ自分のおでこをコツンとくっつけ、そのままそっとキスをした。
「今日泊まってってよ」
「え?良いの?明日も任務あるのに」
七海君の部屋には何度も来た事があるが、泊まった事は今まで一度もない。
お互い忙しいという事と、その日の任務により授業の開始時間も任務の時間もまるで統一性がなく、お互いのスケジュールが全くと言って良いほど合わないからだ。
「早起きすれば平気。それに今日は離れたくない」
その七海君の言葉に「私も…離れたくない」と小さく答えれば、七海君は再び私を強く抱きしめた。
はぁ、幸せだ。
幸せってこういう事を言うんだ。
私はきっと今まで、七海君に出会うために誰にも恋をしなかったのかもしれない。
全部七海君が初めてで、全部全部が愛しくてたまらなくて。
初めてが七海君で良かったと。この日を七海君と迎えられて良かったと。心底そう思う。
「七海君、ずっと一緒にいてね」
七海君に抱きしめられたまま上を見上げれば、七海君は切長な瞳を優しく細め「離してって言われても、もう一生離さない」と甘く囁いた。