第24章 引越し
「ははっ、何て顔してんの」
悟は自分の果てたソレを私から抜き取ると、少しばかり熱った表情のまま目尻を下げて私の両頬を優しく包み込む。
「……うっ…だって、嬉しくて…ひっく…ッ」
「本当リンは泣き虫だなぁ」
優しい眼差しで私を見つめてくれる悟は、私の瞳から溢れていく涙へそっと触れると、そのまま大きな腕で私を包み込んだ。
「本当僕、リンが可愛くて愛しくて仕方ないんだよ」
「…私も、だよ…私も…悟のこと…愛しくて仕方ない…愛してる。悟の全部全部を愛してるよ」
悟の背中へぎゅっと腕を回し、震える声でそう伝えれば…悟は嬉しそうに顔を綻ばせると「ありがとう」と優しい声色で再び私を抱きしめた。
心が満たされて行く。
まるで溢れ出した噴水のように…悟への気持ちでいっぱいになって行く。
愛しい…
ただひたすらに…この人が愛しい。
離したくない、ずっとそばにいて欲しい。
ずっとそばで私を抱きしめていてほしい。
好きだ、大好きだ。
私は永遠に…
悟を愛しく想い
悟を愛し続けるだろう。
私は、胸の奥底で
静かにそう思った。