第23章 待ちきれなくて
これでやっと二日間の任務が終わった。
今日は早く終わったものの、昨日は深夜までかかったから正直言って結構くたくただ。
タクシーに乗り込みホテルへと着くと、時刻は21時半。
お腹…空いた…
昨日は夜中に帰って来たから、ろくに七海君と話をする事もご飯を食べたりする事もなかったな…。
「七海君、ご飯でもどお?奢りますよ!!」
少しばかり先輩風を吹かせながらニカッと笑うと、七海君は困ったように笑った後。
「遠慮しておきます、五条さんにバレたら面倒なので」
「え?悟??」
「付き合っているんでしょう?五条さんと」
七海君の言葉に思わず目を見開く。いや、いずれ分かる事だとは思ってたけど…元恋人にこの手の話をするのはどうなんだろうか…と困惑していると。
「見ていればわかりますよ、あなたは昔から分かりやすいですから」
そう小さく笑いながら言われ、そうだ私は七海君に隠し事は出来ないんだった…と思い「うん、付き合ってる…」と少しばかり照れたようにして七海君から視線を逸らす。
「良かったです、五条さんがあなたのそばに居てくれるなら安心だ」
その言葉を聞いて思わずバッと七海君を見上げると、七海君は少し寂しそうに微笑んだかと思うと、それをすぐにいつもの冷静な表情に戻し「必ず幸せになって下さい」と私の頭へポンっと手を置いた。
その手の温もりが何だかやけに懐かしくて…少しだけ昔を思い出す…
「明日は8時にロビーに待ち合わせでお願いします」
「あ、うん」
未だ七海君をじっと見上げていた私に彼はそう告げると「早く部屋に戻って下さい、疲れたでしょう」と言いって彼は優しく微笑んだあと廊下へと消えて行ってしまった。