第20章 心配症
今日の任務を終えて、高専内を歩きながら悟へ電話をかけると、ワンコールもしないうちに悟が電話に出る。
「もしもし悟?高専着いたよ。硝子のところいつ頃いけそう?」
“おつかれ様〜、僕今すっごい暇してたところだからもう行けるよー”
悟はそう弾んだ声で言うと “伊地知、僕用事あるから学長には少し遅れるって言っといて〜” “へ?え?五条さん!?そんなの困ります!!” とそんな会話が電話越しに聞こえてきて…次の瞬間には。
「きゃっ!びっくりしたー」
私の目の前には、ポケットへ手を入れた悟が片手を上げてニコニコと手を振っている。どうやら近くにいたのか瞬間移動で来たみたいだ。
「リンちゃーんっ、会いたかったよ〜」
私の肩を組みぎゅっと引き寄せる悟は、私の首元へ顔を埋めている。
「数時間前まで一緒にいたでしょ?」
「そんなの関係ないよ、本当は片時だって離れたくないんだから」
その悟の言葉につい嬉しくなりニヤリと笑ってしまう。私、自分が思っている以上に悟に夢中なのかもしれない。
「リンニヤけてるっ、僕にこんなこと言われて嬉しいんだ?」
「ニヤけてないよっ、う…嬉しいのは否定しないけど…」
モゴモゴと口籠る私を見て、悟は満足そうに口角を上げ微笑むと、頬っぺたへとちゅっと軽いキスをした。
「ちょっ悟!ここ外!しかも高専!」
焦る私とは裏腹に悟は「ん?」と首を傾げ“だから何?”とでも言いたそうにクスクスと笑っている。