第13章 ハロウィンの花嫁
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買い物を終えて玄関の前まで辿り着いた。
食材とハロウィンの飾り付けが入った手荷物の重さにふぅーっと息をつき、ドア穴に鍵を入れる。
解錠した音がカチャリと響いたと思ったら、扉がすうっと開いた。
「トリック・オア・トリート!」
「きゃぁあ!」
いきなり出てきたマント姿の怪しげな男に絶叫し、反射的に後ろに大きくのけぞった。
魔法使いみたいな黒のとんがり帽子にアイマスク。不審者だと身構え、急所を蹴り飛ばす寸前だったけど、それは悟だった。
怖すぎるって。心臓に悪いじゃないか!
「もぅ……びっくりさせないで。来るの予定より早くない?」
「君を驚かせたくてね。大成功!」
満足げに親指を立てる。子供みたいな所がある悟にやれやれと思いながら玄関の中に入る。
上機嫌で「お土産ね」って手渡されたのはカボチャの形をしたアイスバケツだった。それと大きな紙袋。
「この紙袋は何?」
「ハロウィンのコスチューム。するでしょ、仮装!」
「あぁ、うん」