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【呪術廻戦】獄門疆から君のもとへ〜五条悟〜

第12章 ファーストキス


 悟はいつもと変わらない様子でぐいっと私を引き寄せて、膝の上に乗っけて耳元で言う。

「婚約が嫌なら今から役所行ってもいいんだけどね。婚約すっ飛ばして妻になる?」

「もー。冗談はいいから」

「冗談言ってるつもりはないけど、まぁーそうなると次は後継ぎとかうるさいから、もう少しのんびりがいいでしょ」

 脳天気なことを言う。
 私の中では複雑な思いが交錯している。

 悟のことは大好きだけど、それを伝えると術式が暴走して迷惑かけそうで怖い。折角、術式が使えるようになったのに全然守れない。

 五条家の術式相伝の継承にも関わる大切な婚約の相手を私に決めていいのかと、責任を取らせてしまったことを申し訳なく思ったりする。

 とはいえ、好きな人との婚約は嬉しいことには違いないから、お礼を言って同意したしそれからも交際は続いたけど、なんとなくその先の未来がわからなくなった。

 そして、それから5年後――渋谷事変が起きた。







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