第10章 本当の出会い
クローゼットから領域の内側に入りこんだ時、千愛の腕を取った。僕と一緒なら彼女は次元を超えられるんじゃないかって思ってね。
だけどその腕はするりと離れてしまい、ひとり僕だけが暗闇の中に落ちて行った。遠くから声が聞こえる。
「五条先生! わたし……あなたの事が」
その続きは彼女が黙ってしまったのか、それとも結界が閉じられたのかは分からないけど聞こえなかった。
肝心な部分の言葉を聞けないところもまた、万愛とそっくりだ。
千愛は"五条万愛"に違いない。
僕の立てた仮説はかなり現実味を増してきた。