第8章 五条悟のひとりごと
渋谷デートから帰った夜、ベッドの上で君から手を繋いできた時、僕は眠りにおちる瞬間、暗闇の中で感じたものがあった。
それは繋がれた君の指先からじんわりと伝わってきた。
――千愛はひょっとして僕のことが好き?
恋愛感情は困るって僕らは互いに確認したよね。それでも僕を好きになった? 僕が君に惹かれるのを止められないみたいに。
なら僕が今、頭の中で立てている仮説はほぼ間違いないかな。
千愛は僕に抱きしめられると懐かしさを感じると言っていた。不思議な感覚だと。
キスやセックスをしてもっと男と女として近づけば、更にしっくりくるものがあるのかもしれない。
けど、今この段階でそれを試すのはまずいよな。単に魂の形がそっくりってだけで別人だって可能性もある。
見た目は千愛と彼女は違うからね。そこは慎重にならないといけない。もちろん千愛の感情の問題もある。