第1章 はじめまして ここは何処ですか?
体が小さくなったのを自覚して 不安に押し潰され大泣きした
夢なら覚めて欲しかったけどあれだけ咳き込んでもこんなに泣いても覚めないのなら ここは異世界なのだと思う
泣きすぎて泣く体力も無くなると自然と心が落ち着いてきた
前を見るとリヴァイは折り紙の本を見ていた
泣き止んだ私をチラリと見ると 腰から下げていた蓋の付いた皮の袋を外し 私に差し出す
「水だ飲め あんだけ泣きゃあ喉も渇くだろ」
ありがたく差し出された水を飲みながらリヴァイをみるとナイフはポケットにしまってくれていた
「水溜まりから突然 これが浮いてきた そしたら今度は手が出てきて思わず掴んじまった そしたらカナコが出てきた これが俺が見た全てだ」
私の手の上にネックレスを落とす
「綺麗な色だな」
「これねもっと綺麗なんだよ」
そうか…リヴァイの方も水溜まりから私が出てきたからビックリしてたんだな
だからあんなに鋭い目で異質な存在の私を睨み自分を守る為にナイフまで出したのだと少し納得した
リヴァイの目も大分落ち着いているし声も少しだけ柔らかくなった
リヴァイから受け取ったネックレスを光にかざす これは私の宝物
「万華鏡って知ってる?」
知らねぇ と首を横に振った
リヴァイに近づいてネックレスの先に付いている小さな青いガラス細工の万華鏡の穴をのぞいた
良かった 壊れてない
「こうやってのぞいて見て」
少し眉をひそめながらも素直に万華鏡をのぞいたリヴァイは 少しだけ口が開きその後笑った
「綺麗でしょ?」
「あぁ…悪くない…」
そう言ったリヴァイの顔はやっと12歳の男の子らしさが出ている
ダメ元で私は水溜まりに入って跳んでみたり 手を入れたりしたけど私の服が濡れるだけで何も起こらなかった…