第1章 はじめまして ここは何処ですか?
鳥を地上に逃がしたい…
そんな小さくて少し面倒な願いを叶える為に長い道を歩いてきた
深い洞窟の先に空いている高い穴の下で小さな手から命が羽ばたいていく…
地下街しか知らない俺は自由の翼を広げ飛んでいくあの青い鳥が眩しく見えた
空を飛べる翼がうらやましいのか
地上へと行ける翼がうらやましいのか
自由に舞う翼がうらやましいのか
考えても仕方がない事は考えるのはやめた
毎日生きる為に頭と体を使う
俺にそれを叩き込んでアイツは俺を捨てた
だから俺はそれしか知らない
飛んでいた鳥が俺が飛び越えられるくらいの小さな水溜まりに1度降りて水を飲んだ
それから再び羽ばたき 鳥なりにお礼のつもりなのか 俺達の頭上を3回旋回して光指す方へ飛んでいった
「……帰るか」
独り言をつぶやき薄暗い俺の世界へと帰ろうと 明るい光に背を向ける
その時になんとなく水溜まりを見た
浅い水溜まりの中から青い小さな筒が浮かび上がる
「?」
不思議に思い青い筒に手を伸ばす 水面を見ると自分じゃない誰かの顔が写る
「!」
と同時に水面から にゅっ と手が出てきたから思わずその手を掴んでしまった