【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第1章 それより前の日
眠りにつくまでのこの時間が嫌いだ。
楽しいことは何一つ浮かんでこない。
むしろ死んで行った仲間たちの断末魔が、まるで耳元で再生されているかのように聴こえてくる。
「チッ…」
目を瞑る。
窓を揺らす風の音、自分の心臓の音を聞く。
現実に鳴っている音の方に集中しようとするが、時折、体に浴びた巨人の血の生暖かさがフラッシュバックする。
この世界でたった一人生き残ってしまったかのような、最低な気分だ。
ため息をついて仰向けになる。
天井の染みは血飛沫みたいだと前々から思っていた。
腹の底で黒い気持ちが蠢いている。
例えるなら虫の集合体のような、ハッキリとした不快感を持っている。
そいつを認識するといつも無性にイラついた。
恐らくはそいつは溜まった性欲なのだろうと思っていたが、最近は射精をしてもそれが消えることなく奥底で存在していた。
この黒いものを誰かにぶち撒けてやりたかった。
昼間の新兵の女の屈託のない笑顔を思い出す。
何かと何かが繋がって答えが出そうだったが、その答えに行き着く前に眠りに落ちていた。