第1章 チタンパート 完
先日ODAILANDで行われた対バンはアルカレアファクトの圧勝に終わり、同時にメジャー活動をしていたバンドの新曲がゴーストライターによって書かれたものだと判明しました。
ボーカルであるーーー氏はこのことについてーーーー
するとヒロインさんは何かを書いている机から顔を上げ、ラジオの電源を落とした。
「……自分で蒔いた種とはいえ、こう連日自分のことを取り上げられるのって良い気がしないね」
対バンを改めて行った際、ドラムが暴露したことによりゴーストライターの件が明るみになった。
ヒロインさんのことを知っている古参のファンもそうだが、音楽を愛するMIDICITYのミューモン達の逆鱗に触れテレビでも干されているようだった。
坊ちゃんにはわかんねえよ
あの時の言葉の意味は、未だにわからない。
ただ酷く哀しいようなその音がやけに耳に残っている気がした。
ヒロインさんのボールペンがリズム良く机を叩く。
ほんのりと聞こえる鼻歌が心地いいのかバルト達は眠ったまま頬を緩めた。
「………できた」
やさしい声が部屋に鳴り、ヒロインさんがペンを置く。
「今回披露する曲」