第1章 チタンパート 完
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目の前のチタンくんが私を包み込む。
それに驚くと、今度は彼の右手が、私の左手を包み込んだ。
「ーーーーどうして」
優しく笑うチタンくんに、思わず目頭が熱くなる。
これは幻だ、私の深層心理が勝手に作り出した幻。
握りしめたメロディシアンが、とくとくと音を鳴らす。
生きている、彼も。
硬く握りしめたメロディシアンをゆっくりと離すと、ゆっくりとそれは浮き上がった。
「ーーーー戻りましょう、ヒロインさん」
戻れるのかな、そう言うとチタンくんは戻れますよと私の涙を拭った。