第62章 ※遠い初めての夜
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「あっ、やッ」
杏「菫…ッ、言ったろう!拒まないでくれ!!」
二回戦目中、何度言っても菫が煽るように胸を押すので、杏寿郎は堪らず菫をうつ伏せにした。
のしりと男の体重が背中に乗る。
「…ッ」
杏寿郎は菫に負担が掛からないように気を付けながら覆い被さったが、鍛え抜かれた杏寿郎の体は詰まった筋肉で重い。
僅かに掛かった体重だけでも重たく、菫は身動きが取れなくなってしまった。
「きょ、杏寿郎さん…っ」
杏「頼む!優しくしたいのであまり抵抗しないでくれ!」
「もっと…、ゆっく、り…ッ」
杏「すまない…!」
そう請われても菫を欲しがって腰が止まらない。
杏「菫…ッ」
そうぞくぞくするような低い声で余裕無く呼ばれ、項に口付けを落とされ噛まれると、菫の頭も痺れてくる。
そうしている間に菫が少し大人しくなった。
そして、それと共に『もっと欲しい。』とでも言うように腰を高く猫の様に上げる。