第32章 五年前の真実

杏「うむ！辛抱が足らずに二度想いを伝えた！！一度目は有耶無耶になってしまったが、今は俺に慕われているとはっきり自覚してくれている！！」


暗い話題からの反動もあって蓮華はパッと明るい笑顔を浮かべた。


蓮「元々お姉様は煉獄様に恋をしていたもの！あと少しですわ！！」
重「ま、待てッ！！！」


聞き捨てならない事を聞いて重國は大きな声を上げた。

蓮華の表情が強張る。


重「恋をしていた…？あの不名誉な噂の事か？鬼に拐かされる前、杏寿郎さんと菫は接点を持っていたのか…？」


その問いに蓮華は気まずそうに頷き、杏寿郎は堂々と頷いた。


杏「菫さんと蓮華さんは鬼に襲われかけた事があります。その時自分と出会いました。」

重「鬼に…？」


重國は目を丸くしながら蓮華に視線を移した。

蓮華は喉をこくりと鳴らしてから認めるように頷いた。


蓮「お姉様はその晩、鬼狩り様…煉獄様に強く憧れたんです。そして、家をこっそりと出て鬼殺隊に入りたいと思われたからか、『家の者には鬼殺隊の存在を知らせないように。』と私に固く口止めされました。翌日には諦めたと仰っていましたが…。」


重國はこの時初めて菫と鬼殺隊との接点を知った。


そして、改めて杏寿郎をまじまじと見つめた。