第10章 露呈*
「名前。好きだよ」
「うん」
「大好き」
「うん」
啄ばむようなキスを沢山する。
以前、悟さんとのキスを媚薬のようだと感じたことがあった。
あれは確かに呪いだったかもしれない。
でもこの気持ちは嘘じゃなくて、私は悟さんが好きだ。
「名前」
「うん?」
額と額をくっつける。
「君はきちんと人間だよ」
「うん」
「僕が不老不死の君を祓えたのは、君が僕と縛りを交わしたからなんだ」
「うん」
「一人永遠を生きるより、僕に祓われることを望んだ」
「うん」
過去を視たから知ってる。
私は自由になる前から。
呪いをかけられる前から、悟さんを好きだったよ。
「ねえ。名前」
「うん?」
「僕と結婚してくれる?」
「うん」
「僕すごく束縛するし、性格歪んでるけど、それでもいい?」
「うん」
それこそ今更だよ。
「ねえ?でも何でエッチすると傷が治るの?」
「それは僕も予想外だった。きっと前世の君の血が残ってるんじゃない?今度は反転して老いないのかもしれないね」
「ふーん。呪いの棚ぼただね」
悟さんでも分からないことがあるんだ。
愛とは究極の呪いなのかもしれない。