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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第15章 青の日々 (及川徹)




『及川のそんな顔初めて見た』

「え…どんな顔」

頬に触れた小さな手に自分の手を重ねる。

『不安そうな顔。先輩に連絡先教えたから?』

「…うん。」

『私そんなに携帯見ないから交換してもほとんど意味ないよ。及川だって知ってるでしょ。』

「そうじゃない…ちゃんの携帯にあの人の名前があるのがやだ。…あっちの携帯にちゃんの名前があるのが嫌なんだよ。」

『やきもち?』

「そうだよ!だって俺と岩ちゃんだけだったじゃん…」

何度も連絡先を聞いて、何度も断られた。
私携帯見ないからって。
それでもいいからって何度もお願いして、岩ちゃんにも協力してもらってやっと交換できたんだよ。それなのにこんなにあっさり…あんまりだよ。

『でも私花巻くんと松川くんの連絡先も知ってるよ』

「…え!?いつ!?」

うっそでしょいつの間に!?

『初めて会った時に松川くんから言ってくれて、その場に花巻くんもいたから。』

「連絡とったりしてる、の…?」

『及川の変な写真がたまに送られてくるくらい。』

「ちょっっと嘘でしょ最悪なんですけど!?」

俺がちゃんのこと好きって知っててやってんだよアイツらタチ悪い!!!

『知らない及川が見れて私は楽しませてもらってるよ』

「……っちゃんが楽しならまあ…いいけど。」

ちょろい…!俺ちょろすぎない!?だってちゃん楽しそうに少し笑ってるんだもん!そりゃあ許しちゃうよ…!!

ああでもやっぱり先輩と連絡先交換したのはモヤモヤするな…。

『及川』

「はい」

『私別に先輩と付き合ったりしないからそんな顔しないでよ。』

「……」

ああもうなんだよ…期待しちゃうじゃんか。顔に熱が集まるのが自分でわかる。きっとちゃんの手にも熱が伝わってる。

『教室戻ろう。チャイム鳴る。』

「うん。」

離れた手を追いかけて思わず掴んでしまった。

『なに?』

「好きだよ」

『ありがとう』

「あんまり執拗いから呆れてたりする?」

『別にそんなことないけど』

「そっか。…ちゃん大好き。」

『ありがと、…ほら行くよ。』

好き。大好き。溢れて止まらないんだよ。
例え君が俺を見ていなくたって。
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