第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
何気ない日常。
の、はずだった。
君が来るまでは。
―――
「おーい席つけー!」
朝からざわつく教室に担任がいつも通りに席へつけと声を張る。
「おーい!治はなんでもう飯食ってんねん」
「朝練あったから腹へってんねん」
「そりゃしゃあないな、ちゃうわ!しまえ!」
「これだけ食うたら!3秒!」
「はよせえよー」
これだって毎朝の光景。治が朝練終わりに教室で飯食って、毎回担任に突っ込まれて。
「今日はな、転校生が来たから紹介すんで」
「まじ!?男?女?」
「女の子や、入っておいで」
ガラガラとゆっくり開かれた扉から現れた見慣れない制服。あれ、待って…。
「ほな、挨拶しよか」
『愛知県から来ました。です。よろしくお願いします!』
「今日からこのクラスの仲間やからな。分からんことがあれば先生でもなんやそこで飯食うてる宮でもええから聞いてな」
わっと笑いが起こる。
当の治本人はなんでやねん!まあええけどな!?なんて言ってまた笑いが起こる。
「どないしたんや角名。鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔しよって。」
「いや、なんでも…」
豆鉄砲どころじゃないでしょ。
例えるなら…いや分からないけどさ。
転校生として紹介された女の子は紛れもなく俺の初恋の…嘘だろ?なんで。てか、え、本人?
愛知から来たって言ってたし…絶対本人だよね。