C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第28章 空と月の間※
────雨の中、車は湾岸線を走り続けた。
窓についた雨の雫が外の景色を虹色に輝かせた。
雨はだんだんと弱くなって、雲の切れ間から月が見え隠れしている。
窓の外にはお台場の景色。隣には運転するランギルス。
「またトリップしたって君……どう見てもここはお台場でしょう?僕がさっきから走っているこの街は君もよく知る東京だよ」
ランギルスはそう言って、嬉しそうに笑った。
「わたし……待ってたよずっと。頭は忘れちゃってたけど、ランギルスのことはずっとこの胸に……」
ネックレスを握りしめる。心はずっと忘れることなく覚えていたんだ。だからこそ、ランギルスに再会したときあんなにも安らいで、無意識に一緒にいたいと思ったに違いない。
車の中のふたりの間には今までのような距離はない。信号が赤になる。その途端にランギルスは私の手に触れた。温かい掌がわたしの手を包み込む。わたしの心にじんわりと温かい気持ちが広がった。
「ずいぶん大人っぽくなったね、相変わらず君は僕の調子を狂わせる」
ランギルスはそう言うと、途端にわたしと目が合う。運転席からわたしの方へと体を向けて、そっと唇を重ねた。一瞬の出来事だった。信号が青になる。ランギルスは何事もなかったかのようにハンドルを握り直し、車を走らせた。
もっとあどけない印象だったはずなのに、隣で運転する彼は間違いなく大人の男だった。胸がドキドキと音を立ててうるさい。好きで堪らない気持ちが溢れて、もっと触れたいと思った。ずっとずっと好きなんだ。ランギルスのことが。
しばらくすると車は海の方へと近づいた。ここはお台場海浜公園だ。ランギルスは車を近くのコインパーキングに止める。運転している姿を思わず見てしまい、きゅんと胸が高鳴った。ランギルスはわたしの視線に気がつき、わたしの方を見ると目が合う。わたしは恥ずかしくなって、目を逸らした。
「何、見てるんだい?」
「べっ別に……」
雨は小降りになっているものの、まだ降り続いている。ランギルスは車を降りて、傘をさした。助手席のドアを開けると、わたしの手を取る。
「まだ雨が降ってるけど、雲が切れてきたね。少し散歩しようか」
「うん」
そう返事をして手を握り返した。どちらからともなく指を絡め合い、繋ぐ。車を降りて、ランギルスの傘に入る。