第29章 黒尾end
日向「黒尾さん、相変わらず忙しそうっすねー!」
黒尾「お陰サマで。」
口の端を上げ笑みを浮かべながら私の隣に腰を下ろした。
走って来たのか薄っすら額に汗が滲んでいた。
「鉄朗、ジャケット脱ぐ?預かろうか?」
黒尾「ん?あぁ、サンキュ。」
脱いだジャケットを預かり椅子に掛けていると前の席に座る日向さんの顔がニヤけていた。
日向「なんか改めて2人を前にすると、、お似合いの夫婦っすね!美男美女だし、仕事バリバリしてるし!」
鉄朗は注文したコーヒーに口をつけると肩を竦めた。
黒尾「バリバリ働くのは良いケド、うちの奥さんモテるから気苦労が絶えなくてね〜。」
「モテてないです。」
コーヒーを啜りながら短く答えると、日向さんが何かを思い出したのか、「あぁ!」と声を上げた。
日向「そう言えば、この間黒尾さんが開いた栄養セミナーなんてめちゃくちゃ人気でビックリしましたもん!
前の栄養士さんの時なんてうちのチームで参加してんの俺とキャプテンぐらいだったのに。」
黒尾「マジ?その話、俺聞いてませんケド〜?」
鉄朗のジトっとした視線が突き刺さる…。
「ブラックジャッカルでセミナーする話しはしたよ?忘れちゃった?」
黒尾「うん、それは聞いた。けど、ともみセンセーがいやらしい目で見られたって話は聞いてない。」
鉄朗の嫉妬めいた言い方に眉がピクリと反応する。