第29章 黒尾end
時刻は17時を過ぎたばかり。
タクシーを降りて目当てのお店の前に立ち看板を見上げる。
同じ歳なのに、自分のお店を持つなんて凄いなぁ…。
しみじみと感心しながら暖簾をくぐり引き戸を開けた。
ガラガラと音を立て中へ入ると店の奥から
いらっしゃーーい!
と懐かしい声が聞こえた。
流石にこの時間だとお客さんはまだ誰もいない。
ぐるりと店内を見渡すとカウンター席の後ろにテーブル席が3つ。
一人で切り盛りするには丁度良い大きさだ。
その時、店の奥から店主が出てきた。
「いらっしゃ、、っえ⁈ええっ〜〜〜〜⁈」
「治君、久しぶり。」