第4章 新たな出会い。
隣を歩くツムはすっかり可愛い先輩に鼻の下伸ばしてるし。
あのフワフワっとした可愛い感じ、ツムのタイプっぽいもんな。
後ろを振り向くと、ともみちゃんが背中を丸めて俯き加減に歩いてる。
・・・こっちは大概地味やな。
スカートの丈長いし、髪は真っ黒で長いしホラー映画から出てきたんちゃうか。
せめてあのメガネはやめた方がええな。
でも、何やろ。
・・・何か気になんねん。何か引っかかんねん。
せやから"頭良さそうだから勉強教えて"なんて口実作っとった。
ともみちゃんや角名が住む下宿は大きな一軒家やった。
俺らが来た事に角名はあからさまに嫌な顔しとったけど、その理由はすぐに分かった。
角名は女を追っかけるタイプに見えへんかったけど、意外やな。
しかも相手はあの地味なメガネっ子。
牽制してくる角名の反応が面白いのと、ともみちゃんへの興味本位で隣に座り勉強を教えてもらう事にした。
勉強するつもりやったけど、、、
隣に座るともみちゃんは勉強するのに邪魔になったんか、長い髪を一つに結んだ時、フワッとあの子と同じ匂いがした。
石鹸のような清潔感のある匂い…。
ペンを動かす手を止め、思わずともみちゃんの顔を覗き込んだ。
もしかして保健室の子なん…?
そう言えばあの子も真っ黒で長い髪しとったな。
記憶を辿り、じーっとともみちゃんを観察する。
髪の毛を結んだ事でシャープな輪郭が際立っている。
この子、近くで見ると美人さんやな。
俺の無遠慮な視線に、ともみちゃんはおどおどし始めた。
そんな彼女に、
治「ともみちゃん、眼鏡外してみてえぇ?」
思わず口走ってもうた。
これには3人とも引いてたけど、素顔が見てみたかったんや。
けど、それは叶わへんかった。
でもええねん。
誰かに興味を持ったんは久々やったし、焦らんとまずは仲良うなるところから始めよか。
こん時はまさか自分が1人の女の子にのめり込むなんて想像もしてなかったんや。