第8章 それぞれの想い。
侑「あー腹いっぱいや、もう食べられへん。」
お腹をさする侑君を倫太郎君が冷ややかな目で見る。
倫太郎「そんだけ食えば充分だろ。」
蓮「相変わらず双子の食欲はエグいな?触発されて俺も食べ過ぎたわ…。勉強せなあかんのにどうしよ…。」
かよこ「今日ぐらい勉強しなくていいじゃなーい⁈明日早起きしてやれば良いのよー!」
だいぶ酔いが回ってきたかよこさんの前には空になった缶ビールが4本。今手に持っているグラスにはワインが注がれている。
あやか「蓮に早起きは無理やんな?」
蓮「ぐっ、、、む、無理やな。」
「蓮さん、勉強するなら早めにケーキ、切りましょうか?」
かよこ「それもそーね!甘いものは別腹だしケーキ食べましょー♡」
侑「え?ケーキもあるん⁇」
治「もしかしてともみちゃんの手作りなん?」
目を輝かせる2人。
「味の保証は出来ないけど…」
私は冷蔵庫からケーキを取り出し、ロウソクを立てるとそっとテーブルへ運んだ。
この時期は苺が出回ってない為、巨峰とマスカットを飾り、ホイップはたっぷりだけど、甘さは控えめにした。
治「うわぁ、めっちゃ上手やなぁ!売りもんみたいやな⁈」
あやか「ホンマや‼︎めっちゃ美味しそう‼︎早よ食べたいわ〜‼︎」
侑「ともみちゃんは俺らの為にご馳走や手作りのケーキまで作ってくれたんやなぁ。愛を感じるわぁ。・・・ほいで、あやかちゃんは何してくれたんかなぁー?」
侑君が意地悪そうな笑みを浮かべあやかさんに詰め寄る。
ケーキに食いついていたあやかさんはピタリと動きを止めた。
あやか「・・・皿と箸、並べたで?」
蓮「てかあやかは昼過ぎまで寝てたしな?」
ギクっと顔を引き攣らせるあやかさんの肩を侑君がポンッと叩く。
侑「ええねん、ええねん。愛のカタチは色々や。誕生日やからって特別な事はせんでええねん。」
治「・・下手なフリやな。」
あやか「何やも〜!せやったらハッピーバースデーの歌でも歌うわ!」
侑「ブッ、子供かっ‼︎せめてもうチョイ色気のあるもんにしてや。」
あやか「色気って何やねん?それやったらハグしてあげるわ!ホイッ」
ふざけて両手を広げるあやかさん。
それをかよこさんと治君が冷やかしている。
そんな2人がふざけ合っている中、近くにいた蓮さんが小声で話し掛けてきた。