第52章 盤上
「~~~~~……っ……!」
ナナはまた眉間に皺をよせて、でもその眉尻は困ったように下げられていて、たまらなく可愛い表情で困惑し、顔を目一杯背けた。
「――――――遊びじゃない。本気だ。ナナ。こっちを向いてくれ。」
「降ろして、くれますか……。」
真っ赤な顔で目を合わせないまま、ナナがポツリと呟いた。
「わかった。君が俺の気持ちをちゃんと目を見て聞いてくれたら、降ろす。」
「…………。」
ナナは恐る恐る困った表情のまま俺の目を見た。
「――――――ナナ。俺を選んでくれ。共に生きよう。共にこの世界の真実を解き明かして、海を越えて――――――遥か異国の地を見に行こう。」
「……………。」
「あぁそうだ、君の好きな言葉で伝えるなら――――――――。」
「――――……??」
「I love you――――――かな。」
ナナは驚いた顔をして、とても困ったように、でも少し嬉しそうに笑った。
「答えは今すぐじゃなくていい。でも聞かせてくれ、近いうちに必ず。」
「―――――……はい………。」
その返事を聞いて、抱き上げていたナナを降ろした。
ナナは小さく会釈をすると静かに歩を進め、扉を開けた。
いつもなら兵士として敬礼をして出て行くのに、今日は真っ赤にして俯かせた顔のまま、ほんの少しちらりと俺に目線を送って、扉を閉めた。
――――なんて可愛いのだろうか。
「―――――この手に落ちるのも時間の問題だぞ、どうする?リヴァイ――――――。」
沸き上がる興奮と熱を抑えながら、小さく呟いた。