第23章 扇揺 ※
心臓がうるさい。
ずっと、鼓動と息が苦しい。
そして―――――インクが滲むようにじわじわと広がる不安。いてもたってもいられず、みんなが寝静まってから私はリヴァイさんの部屋を訪ねた。
小さくノックをすると、こんな時間に訪ねてくる人物の目星はついているとでもいうように、静かにドアが開いた。
「………ナナ。どうした?」
「………おやすみなさいを、言いに来ました。」
「……おい――――――」
リヴァイさんの唇を塞ぐ。
リヴァイさんは少し驚いたようだったが、すぐに私の身体を強く抱きしめてくれた。
唇を食らい合いながら、静かに扉は閉じられた。
「………は………ぁ………っ……、ん………ぅ………。」
薄暗いその場所に、舌が絡む粘着質な水音が響く。
それによってもたらされる興奮が、身体を火照らせる。お互いの呼吸が少し乱れるほどに口づけを交わしたあと、リヴァイさんが口を開いた。
「………ナナ。」
「欲しい……」
「………!」
「リヴァイさんが、欲しい。」
私の言葉にリヴァイさんの眼が変わる。
私のシャツをまくり上げ、私を後ろに向かせて背中を舐め上げた。その感覚に、思わず声が漏れる。
「―――――はぁ……っ………………。」