第226章 結託②
一切を受け入れない私の表情に、ルイーゼは失意の表情を見せた。そんな彼女に背を向ける。背後からまだ、ルイーゼの言葉は私に突き刺さった。
「あなたに憧れて……兵士になりました。悔いは……ありません。あなたの背中を追いかけて……私は……心臓を捧げて生きたのですから。」
自分の道を、自分の意志で悔いなく生きる。
それは簡単そうに見えて、難しい。
――――――でもありがとう。
少し、背筋が伸びた。
私の思考も行動もアッカーマンの血がそうさせているわけではないと、証明したいのなら。
自分で考えて自分で動け。
ルイーゼを振り返ることもせずに歩みを続ける。
建物を出たところで、眩しい太陽を見上げた。
――――ふと、小さな頃に……眩しいほどの太陽を背に、風になびく真っ白なシーツの間からナナが笑って私に手を差し伸べるその姿を思い出した。
あの頃から誰にも左右されずに自分の道を自分で選んで生きている人。
レストランで見た、フロックに引かずに自らの意志を曲げんとするあの姿勢も……エレンは、ナナのああいうところに惹かれたのだろうかとぼんやり、今分かった気がする。
――――ねぇナナ。
今どこにいるの?
もし……また、会えたら。
聞いてみたい。
私の持たない強さを持つあなたのこと……そしてまたあの頃みたいに、聞いて欲しい。
私はエレンを諦められない。
私がエレンのことを話す、それを聞いた時にいつもあなたが向けてくれる嬉しそうな笑顔もまた、私が私であることを肯定してくれる気がするから。
―――――どうか無事でいて。
もう一人の――――――……私の、家族。