第137章 革命
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車いすを押して、処刑台のすぐそばまで連れて来られた。
これからこの目で見るものがどんな光景であれ、目を逸らさない。
そう決意して処刑台を見上げる。
すると――――、私の後ろで、ベルク社の号外が配られた。その号外を目にした民衆から、次々と驚きの声が漏れてあたりは騒然とした。
ダミアンさんはブルブルと震えながらそれを握りつぶし、地面に投げ捨てて踏みにじった。
「――――クソっ……!誰がこんな……!そして……ロイ……ッ……裏切ったな……?!」
その目が、怒りに満ちて私を見下ろし―――――、髪を乱暴に掴みあげた。
「…ッきゃ……っ……!」
「――――恩を仇で返すのか、お前たち姉弟は……!?!」
――――殴られる、そう思った瞬間、ダミアンさんの腕を兵士が制した。
「――――ライオネル公爵ですね?」
「……なんだ?一介の兵士が……私になんの用だ……。」
「――――身柄を拘束します。」
「――――は………?」
そのやりとりに驚いて振り向くと、王政に遣えるはずの憲兵団がダミアンさんを捕縛した。
――――もしかして。
「――――フリッツ王政は崩壊しました。兵団のクーデターによって。あなたも拘束させて頂きます。」
「な、なに……?!そんなことがあってたまるか……!あいつら……くそ、あいつら王政幹部は何をしているんだ、無能が……っ……!」
ダミアンさんの抵抗も虚しく、本人も、付き添いの使用人もボディガードも全て、その手に縄をかけられる。
連れて行かれるその時、心の底からの憎しみの表情でそのグリーンアイは淀んで歪められた。