DIABOLIK LOVERS-My blood-
第5章 血雫 5
「───と、こういう訳でした」
詰まりながらも、全てを説明し終えた彼女は、どこかホッとしている様に見えた。
それと同時に、私は自分自身がどれだけ周りの人に迷惑を掛けてしまっていたかに気付く。
「大変な迷惑を掛けてしまって、すみません。えっと、それから………有り難うございました。」
ほんの数秒の沈黙が流れた後、眼鏡の人の薄い溜め息と共に、言葉が降ってくる。
「私が見つけたわけではないですから…謝罪と礼は、あの穀潰……いえ、あれに謝罪や礼はする必要ありませんね。兎に角、頭を上げなさい。これは予期せず起こった事です。あなたが責任を感じなくても良い。」
言葉は優しいが、声音と溜め息をついた辺りから、「迷惑でした」と、そう言われているような気がした。
「ところで……先程のユイさんの話では、今日から此処に住むことになっている、という訳でしたが…そんな話は聞いていませんね。」
眼鏡の人はクルリと振り向くと、後ろに居る4人に尋ねる。
「……何か知っていますか?」
4人は一斉に顔を横に振る。
やはり、此方の手違いだったのだろうか。ならば話は早い。さっさとこの不気味な屋敷なんかから出て行きたい。
私は口を開く。
「やはり、此方の手違いだったみたいです。これ以上長居をするわけにもいきませんし、私達、帰りm…」
しかし私の言葉は、途中で遮られる事になる。
「あんたらがアイツが言ってた客人か」
どこからともなく声が聞こえてきたかと思うと、誰も居なかったはずのソファーの上に、いつの間にか、イヤホンをはめた人が1人横になっていた。