第4章 東京卍リベンジャーズ・羽宮一虎
翌朝
2人は
夜明け間近に家を出た
自転車の後ろに一虎を乗せたレイナが向かったのは
いつもよりも東側のポイント
そこは有名なサーフスポットらしく
まだ辺りは薄暗いというのに
既に歩道の横のフェンスにはチラホラとギャラリーが集まり始めている
一虎も
その中に混じった
レイナは流れるような動きでボードの上に腹這いに飛び乗ると
手で水をかきながらスイスイと進んでいく
高い波が来ると
ボードの先端をイルカのように水の中へ潜らせてやり過ごす
そうしているうちに
あっという間に沖へ出て行った
東の空が明るくなり始め
レイナのシルエットがハッキリ捉えられるようになった時
大きな波を背に
彼女がボードを漕ぎ始めた
足元の方から迫る波に追い付かれたと思った瞬間
前のめりに傾いたボードの上に素早く立ち上がる
身長の倍以上ある波の先端が白く泡立ち始め
全てを巻き込むようにすごい速さで両方向へ倒れていく
その先頭に
レイナのボードがあった
倒れ込む波から逃げるように
スピードに乗ったまま横へ滑っていく
彼女の乗ったボードが波の面を上下に往復すると
銀色の飛沫が何度も空に上がった
「……すごい…」
華麗なテクニックに
ギャラリーから拍手や歓声が沸き起こる
波が崩れてしまうとレイナは方向を変え
また沖へと漕いでいく
次の波を待つポイントに着くと
薄紫色の空の下で
レイナは一虎に大きく手を振った
遠くからでも
彼女の弾けるような笑顔が目に見えるようだった
(……もっと側で…………君の笑顔を見ていたい……)
彼女に答えるように手を上げながら
一虎は
"次の休みになったらレイナとボードを選びに行こう"と
密かに胸を躍らせたのだった…
羽宮一虎 夢小説『雨上がりの虹』end.