第2章 東京卍リベンジャーズ・柴八戒
『八戒!柚葉!』
空港のタクシー乗り場
列に並んでいると不意に名前を呼ばれた
見ると
美しい女が手を振りながら駆け寄って来る
その場に居た者達は皆
彼女に不躾な程の視線を向けた
オレの隣でスマホをいじっていた姉の柚葉が
嬉しそうに手を振り返す
「レイナ〜♪同じ飛行機だったんだ」
『そうみたいだね。…まぁ、トップモデルの八戒と違って私はエコノミーだったけど〜』
レイナはおどけたようにそう言うと
オレを見て微笑んだ
「……」
「レイナ、今日どこ泊まるの?」
『…まだ決めてない。適当に安いトコ探そうかと思って…』
「じゃあ、一緒にタクシー乗って行きな。晩ごはんは?…私達、デザイナーやってる古い友達と約束してるんだけど…もし予定無かったらレイナもおいでよ」
『えー嬉しい♪ありがと柚葉』
レイナは
パリコレで出会ったモデル仲間だった
整いすぎているが為に近寄り難い外見に反し
性格はとても親しみやすい彼女は
オレの姉でありマネージャーの柚葉と
現地で何気なく話すうちに意気投合したらしく
オレも含めた3人で何度か食事に行ったりするような仲になった
女が苦手で
姉以外の女性に話し掛けられるとフリーズしてしまう俺も
次第に少しずつ彼女に慣れてきて
会話は交わせないまでも
目を見られるようにはなっていた