第8章 東京卍リベンジャーズ・乾青宗
『……ぁ…の………何か私…悪いこと言っちゃいましたか?』
「…?…」
乾が我にかえると
レイナが心配そうに顔を覗き込んでいた
「……ぁ……いや…………ちょっと考えごとしてただけ……ゴメンね…」
『……』
笑ってごまかした乾に
レイナは右手を差し出して言った
『…乾さん?』
「?」
『……もし…良かったら………家まで…手、繋ぎませんか?』
「……ぇ…」
『…………ぁ……でも……ごめんなさい……嫌だったらいいんです…』
「……」
『……なんか…乾さんが寂しそうに見えたから…………すみません、変なこと言って……今の…忘れてください…』
慌てた様子で顔の前でパタパタと振り出したレイナの手を
乾はパッと掴んだ
小さな手に自分の手のひらを合わせて
そっと包むように握る
『……ぁ…』
「……」
『………っ…スミマセン…………私の手…冷たいですよね…』
「…ううん」
乾は繋いだ手を自分のポケットの中へ突っ込んだ
「……すごく…あったかいよ…」
それから2人は
ポツリポツリ話をしながら小雪が舞う夜道をゆっくりと歩いた
10分程で
レイナが一人暮らしをしているマンションの前に着いた
『……ぁ……あの………こんな所まで送ってくださって……本当にどうもありがとうございました』
「そんなの気にしないで。…それじゃ」
『……ぁ……はい。……おやすみなさい…』
「うん、おやすみ」
歩き出した乾に
レイナが声を掛けた
『あ、乾さん…メリークリスマス♪』
乾は歩きながら振り返り
微笑んで小さく手を上げた
来た道をひとり帰っていく
乾の心の中はいつの間にかポカポカとあたたかくなっていた