第7章 東京卍リベンジャーズ・三途春千夜
女の名前は " レイナ "
彼女は梵天が襲撃した組織の事務所にたまたま捕われていた
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両手を縛られ
下着姿で部屋の隅にうずくまっている女に
オレは迷わず銃口を向けた
『んんー!』
「…三途〜…その子も殺すの?」
近くに居た蘭がオレに聞く
「当たりめぇだろ!…顔見られてる」
オレはそう言って
もう一度銃口を向け直した
『んー、んー!』
口元をガムテープで覆われたまま
女はポロポロと涙をこぼした
「……」
何故かその時
オレは一瞬だけ躊躇した
けれど
すぐに思い直して引き金に指を掛ける
「…………悪ぃな…」
人差し指に力を入れようとした瞬間
「待て」
後ろから
梵天 首領・佐野万次郎の声がした
マイキーはペタペタとサンダルの音を立てて女に近付くと
目の前にしゃがみ込み、静かな声で言う
「…騒いだり暴れたりしたら殺す…」
女は涙でぐしゃぐしゃな顔のままコクコクと頷いた
マイキーは、口元のガムテープをゆっくりと外してやり
怯えたように肩で息をしている女と見つめ合った
「……名前は?」
『………………レイナ……』
「……」
しばらくの間そのまま黙っていたマイキーは
不意に立ち上がるとオレに言った
「…コイツは連れて帰る…」
「……ぇ…」
「…頼んだぞ三途…」
「……………うっす…」
納得はいかなかったが
王の命令には逆らえない
部屋を出て行くマイキーの足音を聞きながら
オレは女の拘束を解いて立ち上がらせた