【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第39章 スキャンダルのその先は ☆
ピリリリ…
ピリリリ…
「ん…」
朝、わたしのスマホが枕元でけたたましく鳴り響いた。
今日の仕事は午後からだったはず。
アラームはそれに合わせて設定したはずなのに、鳴ってるってことは電話…?
寝ぼけ眼でかろうじてそこまで頭を回転させたわたしは、まだ半分夢の中でスマホを取った。
「はあーい?」
「あ!Lila!?
ちょっと今すぐ事務所に来てくれないか?」
「え…今日、午後からでしょ?」
「いいから!出来るだけ早く!」
切羽詰まった様子の山岸さん。
この感じは只事じゃない。
そう思ったわたしは
「ん…わかった。
じゃあ、今から準備してタクシーで行くから、1時間ほどで着くと思う」
「わかった。待ってる」
山岸さんとそう言葉を交わして電話を切った。
まだぼーっとする頭をむく…と起こし、ベッドの隣を見ると零は既に出かけている。
リビングのテーブルの上には、零お手製のサンドイッチとその隣にメモが置いてあった。
今日はチートディだよな?
夜、美味しいもの作って待ってるよ。
仕事、頑張って。
零
そう書いてるメモを手に取り、綺麗な零の字に思わず顔が綻んだ。
「わたしのチートディを完璧に把握してるとは。やりますね、降谷さん」
風見さんの真似をして、ふふっと笑いながら独り言を言ったわたしは、零が作ってくれたサンドイッチを咥えながら朝の準備を始める。
と言っても、面倒だからメイクはせず、服を着替えて顔を洗い、髪を梳いて歯磨きをしたらもう完了だ。
帽子を目深に被り、自宅マンションのエントランスに停まっているタクシーに乗り込んだ。
「青山の、b-xエンタテイメントまで。」
「はい」
まさかこれから自分の身に起こる事変に、わたしは気付く気配すらなく、早く今日の夜の零のご飯が食べたいなーなんて呑気なことを考えながらタクシーの窓から流れる景色を眺めていた。
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