第53章 潜む闇
裏庭の石のベンチに腰を下ろし、僕は腕を組んで待っていた。冷たい風が頬をなでても、グローヴァーは現れない。
時間を間違えたわけじゃないし、僕の言葉を聞き間違えるようなやつでもない。
----まさか、あの噂に出ていた“例のスリザリン生”が関係しているのか?ボガートの授業でグローヴァーを青ざめさせたという謎の人物――本当にそんな奴がいるなら、どういう関係なんだ。
僕は少しイラついて、石のベンチを靴で軽く蹴った。別に特別な用事じゃなかった。ただ礼を言いたかっただけだ。
それなのに――来ない。
やがて鐘の音が鳴り、大広間の夕食の時間になった。
スリザリンの席に座り、何気なくグリフィンドールのテーブルに目をやる。
ポッター、ウィーズリー、グレンジャー……いる。
だが、グローヴァーだけがいない。何なんだ、今日は。あのスリザリンの奴が本当に絡んでいるのか?
胸の奥が、妙にざわついた。