第6章 魔法の授業
翌日、ハリーは学校中の注目の的だった。どこに行っても囁き声が聞こえ、廊下ですれ違ったと思えばわざわざ振り返ってジロジロ見られたりした。教室を覚えるだけで手が一杯だと言うのに、いつもハリーの隣にいるミラもただただ迷惑だといつも不機嫌な顔で相手を睨んでいた。
ホグワーツには142もの階段があり、広い壮大な階段もあれば狭くてガタガタの階段、金曜日にはいつもと違うところへ繋がる階段、真ん中あたりで毎回一段消えてしまう階段。忘れずにジャンプしなければならない階段など。
階段だけでなく、扉も中々癖が強かった。丁寧にお願いしないと開かない扉や正確に一定の場所をくすぐらないと開かない扉、扉のように見えるけれど、実は硬い壁が扉の振りをしている扉など。
幸いだったことは、ミラは道を覚えるのが得意だった。一度行った道はすぐ覚えるお陰で、ハリーとロンはまだ一度も遅刻はしていない。ただしポルターガイストのピーブスに出くわすと、遠回りをする羽目になったり、授業が始まるギリギリになることもあった。
更に週に何度かネビルがピーブスの被害を目撃するくらい、ネビルはピーブスのお気に入りだった。
ピーブスより厄介なのがいるとしたら、それは管理人のアーガス・フィルチだった。生徒たち皆は管理人のフィルチが大嫌いで、彼の飼っている猫のミセス・ノリスもまた、規則を破ればすぐにフィルチの元へ報告して、すぐにフィルチが息を切らして走ってくるのだ。
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天文学、薬草学、呪文学に魔法史、その中でもミラは変身術の授業が大好きだった。マクゴナガル先生は他の先生とは違い、厳格で聡明そのものの先生で、ミラはいつも1番前の席を陣取っていた。
「変身術は、ホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険なものの一つです。いい加減な態度で私の授業を受ける生徒は出て行ってもらいますし、二度とクラスには入れません。はじめから警告しておきます」
そして先生は机を豚に変えると、また元の姿に戻してみせた。生徒たちは感激して、早く試してみたくてウズウズしていたし、ミラは尊敬の眼差しで先生を見ていた。
しかし1年生にはまだ家具から動物に変えれるようになるまでは時間がかかるらしく、複雑なノートをとった後、生徒一人ひとりにマッチ棒が配られた。