第169章 七夕⦅宿儺⦆
『星がキレイだねぇ。
織姫さまと彦星は天の川で逢えたかなぁ?』
空を見上げ、独り言のように呟く なな 。
「ケヒっ」
隣に座って空を見上げた宿儺は笑った。
「いつの時代も人間は愚かだな」
『馬鹿にしてる?』
宿儺のあぐらの中で、ちょこんと座り自分を見る なな の頭を撫で、宿儺はケヒヒと笑った。
「お前は特別だ。俺が惚れた女なのだからな」
ニィと口角を上げる宿儺の表情に、なな は頬を染め、空を見た。
「視えるか? なな 。今夜は呪霊の数が多いだろう?」
眼を凝らし空を視る なな 。
『あ、ホントだ! なんで?』
「今日は七夕と言うのだろう?
短冊とか言う紙切れに願い事を書いて飾ると言っていたな?」
宿儺の言葉に頷く なな 。
「"お金持ちになれますように "
とか
"感染症が収まりますように "
とか、様々な願いが書かれていた。
時代は移り行くものだが、いつの時代も【願い=呪い】であることに間違いないのだ」
自分の膝に肘を付け、頬杖をつきながら宿儺は そう教えてくれた。
「まぁ、ほとんどが低級の呪霊で留まっているな。
なな たちのように、呪力がある奴が願いを書けば より強い呪霊が生まれる」
宿儺の説明を 『へぇ』と感心した。
***おわり***